目指せ ガンバレ 弥栄地域公民館54.5km
とりあえず弥栄地域公民館を目指します。
情報によると、小さなアップダウンがあり、
海の景色とかないので気がまぎれず疲労が溜まる区間だそうです。
「あかん、脚が動かへん。あれ、走り方が分からない、
どうやって走るんやったかな？？」
そんなことを感じながら走っていました。
「こんなん、はじめてやわ。走り方わからんって、
生まれたての馬が歩けないみたいやん、そんなん、忘れる？」
やはり、練習不足、自己責任です。
この時は必死すぎて、気づいていませんが。
丹後ウルトラマラソンはつらいのが当たり前
平坦な道ですが、体と心を削って行きます。
スピードもキロ8分半から9分に。
脚が出にくく歩くことも多くなってきました。
「うっ、脚が痛い、
そっか、さっきタイタン（10回完走した人の称号）の
岩崎和男さんが言ってたな
『丹後ウルトラマラソンは辛いのが当たり前。
がんばれ、がんばれ』
ほんまやわ、なんとか脚を動かそう」
えっ、時計がフリーズ！使えない
重くて痛い体に鞭を打って前に、前に。
「そうや、そろそろ時計（ガーミン）を充電しとかないと、使えなくなってしまう。
この時のために携帯のバッテリーを持ってきたんや。充電、充電」
リュックから、バッテリーと充電ケーブル出して、
ガーミンをつないで。これがダメだったんでしょうね。
「あれ。画面変になった。
あれ、ボタン押しても画面変わらへんやん。
あーどうしよう。ペースわかれへんやん」
終わりました。ペースや現在何キロ走っているのかわからない。
「あー携帯しかないやん。スピードもわからないから、
どうしようー」
心が折れかける！
「折れかけていた心が、ポキッ、ポキッ」
「もうええか、諦めよう、あーガーミン、
このタイミングでバグるなんて、諦めろということか」
「いやいや、まだや、誰かガーミンの再起動知ってるかも、
そうや、ガーミン使ってる先生に聞いてみうよ」
LINEで問い合わせ、しばらくするとガーミン再起動の方法のURLが
「よし、これで再起動できる。あれ、
『このボタン押したら再起動できるよ！』
じゃないやん。えっ、このHPの説明を自分で読んで対処しろってこと。
そんなん、走ってるのにできひんやん、クソー」
そんなことを思いながら、しばらく走っていました。
「あかん、でも、ガーミンが動かなかったら、俺、困る。
やっぱ、歩いてでも、この説明見よう」
自分が本当に困ってることは、ちゃんと自分で対処しようとするもんですね。
自分のことは、自分がまずちゃんと向き合わないと。
「ふむふむ、なるほど、このボタンか。
あれ、このボタンさっきも長押ししたのに。
さっきは再起動できなかったで。でも押してみよ」
よし、まだまだいける！
「わー、再起動できた、うそ、助かった、これでペースわかる」
なんとかガーミンは動き出しました。
おかげで走ってるペースもわかります。
「制限時間が12時、残りだいたい2キロで20分、
今ならキロ8～９分ぐらい、16～18分かかるから、
なんとか間に合う。よし、行こう」
制限時間まで残り18分！悔いのないように
と思うも、脚が痛過ぎて、うまく走れない
「あかん、脚痛い走れないわ・・・」
歩いてしまいます。
「もうええか、俺、頑張った。
でも。自分からリタイヤするのは嫌やし。
制限時間に引っかかるんやったら。しょうがないかあ、
このままのペースで行こう、よう頑張った、俺」
弱気の虫が出てきました。
「でも、あかん、走ろう。あの電柱まで取りあえず行こ」
自分の決めたポイントまで走って、その後は歩く。
そうしていたら、たくさんの人に抜かれました。
「そっか第2関門諦めてないんや。すごいな。俺も頑張るぞー」
気持ちだけで、体はついてこない。
「やっぱ無理、辛いし痛い、残り何キロかわからないし、
見えないと元気でない」
走っては歩いて、歩いては走って。
そんなこんなで折れそうな心で、
いや折れてる心をつなぎ合わせて走っていると。
弥栄地域公民館が見えた
残り5分です、走れば間に合う！！
ボランティアの男性が大声で叫んでる。
「あそこの病院のところが次の関門ですよー、
残り5分です、200メートルあります
走ると間に合いますよ」
「私が見える人、まだ、間に合いますよ。残り5分です」
自分に聞きました
「リタイヤする？頑張る？さあ、どうする・・・」
「走るの辛いやろ、もうええぞ。
でも、そんな気持ちでここまで来たんじゃない」
「がんばれ、俺！！」
走りました。重い脚を引きずるようにして。
走れていたのかはわかりませんが。
「残り5分」ボランティアの方の声が響きます。
「残り3分ですよー」
ギリギリや、やばい。
滑り込みました。
間に合った 第３チェックポイント弥栄地域公民館
よし！弥栄地域公民館に到着。11時57分、3分前。
「あー間に合った、なんとか走り切ったで。
ハーハー、もう走れないわ。もう限界」
◯弥栄地域公民館 到着 54.5キロ
予定出発時刻 11時30分 到着時刻 11時57分
「いやーここまで辛かったな。
とりあえず水かポカリ飲もう。ハーハー」
「鋼の心でとよく言ったものや。心、折れ折れ、限界や」
「でも、ここで間に合ったということは、リタイアできないってことやな」
そんな時、こんな声が
「リタイヤ希望の方は、こちらにお越しください」
前をみてみると「男子トイレ」「女子トイレ」の看板の横に
「リタイア」の看板が。
やるか、続けるか・・・
昨年はここで300人のリタイアが出たそうです、
「あかん、もう、走るの限界やな。走り方も忘れるぐらいやもんな」
「時間制限にも間に合ってしまったから、次に進めるけど、もう限界や、やる気も出ないし、体も痛いし」
体も心も限界でした。
「もうええか、でも自分から辞めるのは嫌やしな」
「知人のO先生に
「どうせ今回は完走は無理で55キロまでしか走れないと思う」
そんなことも言われたな。
やめたらその先生のいう通りになる。
それは悔しい、なんとか超えたい」
バテバテで食べるはずのバラ寿司を食べるのも忘れるほどでした。
「水入れて、氷もらって、頭から水かぶって、脚にも水かけて」
行く準備はするものの、
いまいち再スタートはきれなかった。
そんな時
「ここのエイドを12時10分に出ないと、リタイアになりますよ」
「えっそんなんあるんや。やっぱ、リタイヤは嫌や、行こう」
弥栄地域公民館を後にしました。
続く
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